楽天カードに14.99%出資するみずほフィナンシャルグループの木原正裕社長と楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は14日に記者会見した。みずほの木原氏は楽天カードへの出資で「コマース(買い物)と金融を融合し、利便性が高い決済サービスを展開する」と述べた。楽天Gの三木谷氏もみずほとの提携で法人カードに注力すると話した。主なやりとりは次の通り。
――みずほのリテールビジネスの課題は。楽天カードへの出資でどう変わるか。
木原氏「デジタルの世界が相当広がっている。コマースと金融が融合し、そこに消費者が流れている。(金利上昇で預金の重みが増すなかで)預金の粘着性を高めるにはどうすればいいか考えてきた。資金需要が高まるなか、我々もカードなどを押さえることが重要だ。デジタル化を深めるためにもオープン戦略を進め、ケイパビリティー(能力)が高いところと組む。楽天との関係は楽天証券への出資に始まり、現在に至る。今回も十分にリターンがあると算段している」
――UCカードとオリコカードは楽天カードと統合するのか。
木原氏「いまの段階では答えようがない。オリコは業績の下方修正を発表した。株価を含めて業績を回復することが喫緊の課題だ。オリコは(短時間で適切な与信ができる)性能規定与信という新たな武器を持ち、楽天市場で広く展開できる。その先にどうするかはこれからだ」
――中長期的には事業領域が重複しないか。
三木谷氏「日本は現金支払いがまだ多い。他のカードの利用者がみずほ楽天カードに切り替えれば、みずほと楽天へのロイヤリティーが高まる。(新たに提携する)オリコは我々にない与信能力がある。楽天はいままで法人カードを発行してこなかったが、非常に需要も高く、みずほと協力して拡大したい。我々はオンラインでの存在感は強いが、リアルマーケットの知見が足りない。協業には大きなシナジーがある」
――楽天ポイントとみずほのポイントが連携する可能性は。
木原氏「将来の検討項目の中に入っているが、どういう形でやるかはまだ決まっていない。みずほは現在、マイレージクラブの新しいプログラムをつくっているところだ。新たなプログラムができた後で、楽天ポイントと交換できるようにするか相談したい。今回のみずほ楽天カードは楽天ポイントが付く」
――楽天市場の加盟店に対する資金繰り支援は。
木原氏「加盟店の資金の出入りを見たうえで与信枠を設定することもできる。どういう形でやるか個別、具体的にはまだ双方で詰めきれていない。まずは法人のビジネスカードを楽天カードのなかに組み込んでいきたい」
――楽天カードへの出資比率が14.99%にとどまったのはなぜか。
木原氏「私は慎重なので。まずは持ち分法適用前から入ろうかなと正直思った。楽天にとって楽天カードは非常に重要なビジネス。20%以上とるかはそこまでは今回はしなくていいかなと。あまり深い意味はない」
――楽天Gにとってもみずほとの関係が深まる。
三木谷氏「もともと楽天Gのメインバンクとして色々な関係性を築いた。事業のシナジーもさまざまな形で色々なステークホルダーと議論した。そのなかでシナジーが非常に大きく、経営者同士の信頼関係も大きく寄与した」
――三井住友銀行はOlive(オリーブ)やVポイントを手がける。みずほのデジタル戦略は今後どうなるのか。楽天ポイントを含め経済圏をどう考えるか。
木原氏「1人でやるよりもオープンでやったほうが自分の経済圏が広がる。我々自身のデジタル化やポイントはやるが、他社と協業した方がより広がりがある」
(四方雅之、古田翔悟)
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