25年6月に稼働する予定の西部ガスの実証設備(イメージ)=同社提供

西部ガスホールディングス(HD)傘下の西部ガスは、水素と二酸化炭素(CO2)を反応させて都市ガス原料を合成する「メタネーション」の実証設備を15日に着工する。ひびきLNG基地(北九州市)に新設し、2025年6月の稼働を予定する。実際の製造を通じてコスト低減策や商用化に向けた課題などを25年度中に洗い出す。

実証設備の面積は約1200平方メートルで、1時間当たり12.5立方メートルの生産能力をもつ。実証では「地産地消」を掲げており、水素やCO2は構内や近隣から調達する。事業費は約10億円。

メタネーションでつくった合成メタン(e―メタン)は使用時のCO2排出量が実質ゼロで、都市ガスの脱炭素化のカギを握る次世代原料として期待されている。通常のメタンと組成に差はなく、既存のインフラやガス機器をそのまま使える利点がある。

西部ガスは「メタネーション実証設備」着工に先立ち、安全祈願祭を開いた(14日、北九州市)

西部ガスは30年にグループの都市ガス販売量の1%(年間で約1000万立方メートル)を合成メタンにする目標を掲げている。現状では価格が通常の4倍以上と高いのが課題で、実証を通じてコスト低減策を検証する。

着工に先立って14日、現地で安全祈願祭を開いた。同社の木下貴夫・取締役常務執行役員は「ガスの脱炭素化は大きな挑戦だ。時代に合った都市ガスをこれからも届けるため、コスト低減など様々な技術開発にチャレンジしたい」と語った。

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