塩野義製薬は28日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比6%増の1710億円になる見通しだと発表した。従来予想から80億円上振れする。抗エイズウイルス(HIV)薬の販売が伸びるほか、24年度下期に発売予定の不眠症治療薬「クービビック」の収益貢献も織り込んだ。
売上高に当たる売上収益は6%増の4600億円、営業利益は8%増の1650億円を見込む。いずれも従来予想より50億円上積み、3期連続で過去最高を更新する。
抗HIV薬などのロイヤルティー収入が2428億円と前期比で21%増える。クービビックは30億円の売り上げを見込む。既存の抗生物質が効かない薬剤耐性感染症の治療薬「セフィデロコル」の販売も海外で堅調に推移する。
国内では夏まで感染症が流行せず、インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」や新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」は低調だ。インフルエンザとコロナ治療薬の売り上げは従来予想より78億円下方修正し、前期比1%減の723億円を見込む。
それでも塩野義は冬の流行は例年並みとみている。同日開いた記者会見で手代木功社長は「ゾコーバのシェア自体は拡大を続けており、引き続き処方率を上げていく」と述べた。
9日には厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)でゾコーバは「標準治療に対し追加的有用性がない」とする費用対効果の検証結果が了承された。これに関して手代木社長は「医療現場は冷静に見ており、市場に大きく影響しない」と強調した。
同日発表した24年4〜9月期の売上高は7%減の2139億円、純利益は8%減の831億円だった。注意欠陥・多動性障害治療薬の販売などの権利を武田薬品工業に移管したことで前年同期に受け取った一時金の反動が出た。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。