ニデックの岸田光哉社長は24日、東京都内で開いた決算説明会で、電気自動車(EV)駆動装置「イーアクスル」事業について「モーターなどの内蔵部品を単体で販売する事業を強化する」と語った。これまでモーターと変速機などを組み合わせたユニットで販売してきたが、中国市場での価格競争の激化を受けて受注を絞り込んでいた。部品販売にも注力することで、事業拡大と採算改善につなげる。
前日に発表した2024年4〜9月期連結決算(国際会計基準)では営業利益は前年同期比5%増の1210億円と過去最高だったが、イーアクスル事業は営業赤字だった。値引き要請が強い中国の新興EVメーカーからの受注を抑制し、欧州ステランティスとの合弁企業を通じた販売などに絞り込むことで10〜12月期の黒字化を図っている。
ユニットとして納入するのではなく、モーターなど部品単品での販売にも力を入れる。イーアクスル事業は24年3月期で約300億円の売り上げがあったが、岸田社長は「部品事業でも将来は4ケタ(億円)の規模を目指したい」と語った。既に欧州や中国のEVメーカーから引き合いが来ているという。
ニデックは24年3月期にイーアクスル事業などで約600億円の構造改革費用を計上した経緯がある。岸田氏は4月に社長に就任する以前はイーアクスルなど車載事業を担当していた。世界的にEV市場が減速するなかで「1年前に構造改革を決断して良かったと実感している」と語った。今後は採算を重視しながら事業を拡大し、「実現できない事業プランは二度と描かないようにする」とした。
パワーステアリング用モーターなどの車載部品については組織体制を見直すことも明らかにした。10月から家電や産業用モーターを担当する事業本部とイーアクスルを除く車載部品事業を統合し、欧米などで調達や生産での相乗効果を見込む。
車載関連の電子制御ユニット(ECU)を手がけるニデックモビリティ(旧オムロンオートモーティブエレクトロニクス)とニデックエレシス(旧ホンダエレシス)の統合も進める。岸田社長は「自動車メーカーが自動運転などに資源を振り向けるなか、ECUの設計を外注する流れが強まっていることに対応する」と話した。
人工知能(AI)データセンター向けのサーバーに使う水冷装置については、米エヌビディアが投入する新型画像処理半導体(GPU)「ブラックウェル」に対応した製品開発を進める。4〜9月期の水冷装置の売上高は約116億円だった。新型GPUの投入が当初想定より遅れ、足元では減速しているが「中長期では想定していたような成長カーブを描く」とした。
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