光通信関連部品メーカーの湖北工業は24日、衛星間光通信ネットワークサービスを手がけるスタートアップ、ワープスペース(茨城県つくば市)に出資すると発表した。衛星間の通信手段が今後、無線からレーザー光通信に転換していくと見込み、部品・機器やシステムの開発で連携する。宇宙事業を新たな事業の柱に育てる。
出資額は約3億円(出資比率は8.9%)。11月上旬に出資を完了する予定だ。同社は今回の出資を「宇宙通信分野向け光デバイス・システム開発に関する提携だ」と説明しており、強い放射線や激しい温度変化にさらされる宇宙空間でも耐えられる製品開発を目指す。海底ケーブル向けで実績のある光通信デバイスの応用を模索する。
湖北工業は6月、防衛・産業機器関連のレーザー技術では世界最高水準の企業だとされるイスラエルのアリエル・フォトニクス・アセンブリーに出資すると公表。新たな技術開発を進め、高速大容量の先端ネットワークとして米スペースXをはじめとした各社が競う低軌道衛星通信システムなどに部品メーカーとしての参入を目指す姿勢をみせていた。
高度1600〜2000キロメートルにたくさんの衛星を配置する低軌道衛星通信システムは比較的低コストで効率のよい高速大容量のネットワークを構築できるため、参入の動きが相次いでいる。さらに障害物の少ない高度2000キロメートルを超える中軌道での衛星通信システムの市場も広がっていくとみられている。
湖北工業は海底ケーブル向け光アイソレーターで「世界シェア5割以上」と公言する。この春には米シリコンバレーに研究開発拠点を置くエピフォトニクス(神奈川県大和市)を買収した。同社は光情報通信の省電力、高速化を進める「PLZT薄膜形成技術」で知られる。この技術を活用し、データ通信容量の急拡大が求められる生成AI(人工知能)や、光量子コンピューターなどの分野でも新製品を開発していく構えだ。
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