山梨県は6日、東レや東京電力エナジーパートナー(EP)などと組み、太陽光発電など再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵・利用する「P2G(パワー・ツー・ガス)システム」の設備の本格運転を始めた。工場で使う電力や都市ガスの一部を賄う。再生エネの地産地消を後押しする狙い。
大成建設の子会社、大成ユーレックのコンクリート部材工場(埼玉県川越市)に設備を導入した。太陽光パネル設備や蓄電池、ボイラーと接続し、全体の実証稼働を6日に始めた。
1時間あたり60ノルマル立方メートルの水素を製造する。昼間に余った太陽光発電の電力を水素製造や蓄電池に回す。夕方や雨天時など発電量が減った際に活用するほか、コンクリート部材をつくる際に必要な高温蒸気を作る都市ガスを一部代替する。
設備は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環で山梨県などが開発した。コンテナ(幅12.2メートル、高さ2.9メートル、奥行き2.5メートル)に水素製造装置や変圧器を格納し、省スペースで輸送しやすいパッケージ型だ。
2025年度にかけて運転効率やランニングコスト、耐久性などを検証する。すでに福島県や東京都の工場での導入も決まっている。設備の対象になる工場は各地にあり、再生エネを現場で発電して使えば、脱炭素の効果が大きいとみている。
山梨県企業局の功刀稔永技監は「全国各地に『やまなしモデルP2Gシステム』を広げていきたい」と意気込んだ。東レのHS事業部門の橋本勝主任部員は「工場で実際に運用したデータを取得し、今後の製品開発に役立てたい」と語った。
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