イオンは自主検査をクリアした福島県産の魚介類を「福島鮮魚便」として販売している(6月、都内の店舗)

イオンは6日、福島県産の水産物の自主検査で放射性物質のトリチウムはこの1年近くで検出されなかったと発表した。2023年8月下旬に東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を始めて1年を迎える。イオンは福島県産の水産物を一部売り場でコーナー展開している。風評被害が起きないように改めて安全性をPRする。

23年8月24日からの海洋放出開始に伴って、イオンはトリチウムの自主検査を始めた。世界保健機関(WHO)はガイドラインで飲料水に含まれるトリチウムの基準を1リットル当たり1万ベクレルとしている。イオンは有識者の意見を踏まえ、WHOよりも厳しい1リットルあたり7000ベクレルとする自主基準を設定した。イオンによる自主検査では、24年7月までにトリチウムは検出されなかったという。

イオンは検査結果をサイト上で公開してきた。基準を超えた場合は下回るまで販売を見合わせる計画だった。

検査で茨城大の教授が考案した新たな手法を取り入れた。検体の魚をさばいて容器に入れ、電子レンジで温めたときに出る水分から放射性物質を検出する。従来は凍らせて乾燥させるといった手順が必要だったため検査に約1カ月かかっていたが、新手法は合計2時間程度で分かるという。

イオンは18年から「福島鮮魚便」の看板を掲げて福島県産の水産物を一部店舗で販売するなど、同県産品の魅力発信を進めてきた。6日、報道陣向けの説明会を開いたイオンの名部利彦品質管理グループマネジャーは「顧客の声は好意的なものが9割強だ。いつでも安心して購入できる環境をつくり、これからも福島県産を続けて扱っていきたい」と語った。

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