ロームが5日発表した2024年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比83%減の34億円だった。円安で海外販売には押し上げ効果があったものの、国内の産業機器向け半導体などが不振だった。省エネルギー性能が高いパワー半導体の増産で、新工場の減価償却費や研究開発費も膨らんだ。

売上高は2%減の1182億円、営業利益は93%減の12億円だった。期中の平均為替レートは1ドル=約156円と前年同期から約18円円安で推移したことで97億円の増収効果があったが、国内でファクトリーオートメーション(FA)機器メーカー向けなどの半導体出荷が落ち込んだ。中国や米国、欧州向けは堅調だった。

省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)ウエハーを使ったパワー半導体の増産も重荷になった。ロームは電気自動車(EV)向けなどにSiCパワー半導体の需要が伸びるとみて、宮崎県の新工場に前期から5年程度で3000億円規模の投資を計画するなど、積極的な能力増強を進めている。4〜6月期段階では減価償却費の増加が31億円、研究開発費の増加が44億円、営業利益を押し下げた。

25年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比3%増の4800億円、純利益は74%減の140億円になる見通し。上半期で在庫を適正水準まで圧縮し、下半期は工場の稼働率を引き上げていく計画だ。想定為替レートは1ドル=145円を維持した。ロームでは対ドル1円の円安で年間売上高が21億円、営業利益で8億円の押し上げ効果がある。急激な円高で業績の上振れ余地がなくなり、減益要因になる可能性も出てきた。

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