海外への先端技術の情報流出が懸念される中、警視庁は17日、研究機関の関係者を集めた初の合同セミナーを東京都内で開いた。大学など都内28機関の担当者ら計約120人が集まり、情報技術の流出やサイバー攻撃の現状と対策を学んだ。

 警視庁の中島寛公安部長は講演で「企業に限らず、懸念国が有しない先端技術を持っていればどこでも狙われる」と述べたうえで、近年の事例を複数紹介。「オープンで国際的というアカデミアの長所が悪用されている」と指摘した。

 警視庁は2019年、政府と歩調を合わせる形で経済安全保障対策の専従班を設置。21年3月にはプロジェクトチームを立ち上げ、情報流出などへの対応を企業に働きかける「アウトリーチ活動」を続けてきた。

 対象は半導体や通信機器のほか、兵器転用が可能な製品の技術や情報を扱う企業で、今年11月までの3年間で延べ約8千団体に上る。

 一方で、情報流出が利益に直結する企業とは違い、大学などの研究機関の理解は企業ほど進んでいるとは言い難く、まずは現状を理解してもらおうと合同セミナーの開催につながった。

 同庁幹部は「どのように懸念国が接近し、情報が流出するのか、過去の事例を知って流出を防いでほしい」と話す。

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