横浜地検に犯人隠避教唆容疑で逮捕、起訴され、有罪が確定した元弁護士の江口大和氏(38)が、取り調べで黙秘権を侵害され、検事に「ガキ」などと侮辱されたとして国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が17日、東京高裁であった。
江口氏側は、明確な黙秘の意思を示した後も取り調べを強いたのは違法だと主張し、国側は控訴棄却を求めて結審した。判決は来年2月6日。
検事の発言を人格権侵害とする一方、黙秘権侵害を認めなかった一審判決を不服として、江口氏側が控訴していた。
江口氏の代理人の宮村啓太弁護士は結審後の記者会見で「黙秘権の趣旨に正面から向き合った判断を求めたい」と述べた。また取り調べを担当した検事について、一審判決で発言の違法性が認められていながら懲戒処分がされていないとして、今月10日に検察官適格審査会に審査を申し入れたと明らかにした。
一審・東京地裁の審理では国側が地裁の勧告を受け、取り調べの録音録画データを提出。黙秘する江口氏に担当検事が「お子ちゃま発想」「うっとうしいだけ」などと発言する動画が法廷で流された。
7月の一審判決は、検事が「侮辱的な表現を使い、必要な範囲を超えて人格を不当に非難した」と指摘し、国に110万円の賠償を命じた。
横浜地検は2018年、死亡事故を巡り関係者にうその供述をさせたとして逮捕。江口氏は起訴されるまで黙秘を続け、公判で無罪を主張したが、最高裁で執行猶予付き有罪判決が確定した。〔共同〕
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