愛知県警が昨年1年間に取り扱った落とし物の件数は約144万6千件で、過去最多となった。新型コロナの5類移行で行楽や会食など外出の機会が多くなり、落とし物が増えたとみられる。

 最も多かったのは、ハンカチやストラップなどの「生活用品」で、「キャッシュカード類や会員証類」「趣味・娯楽用品」(おもちゃなど)が続く。コロナ禍に入った2020年は前年より約30万5千件減の106万7千件だったが、徐々に増え、昨年、コロナ禍前を超えた。

 名古屋駅周辺を管轄する中村署には昨年、約17万件の落とし物が届いた。4月中旬に署の保管場所(幅・奥行き約5メートル、高さ約2メートル)を訪ねると、キャリーケースなど約3カ月分の落とし物が所狭しと並び、今年も多発傾向が続いているようだ。

 県警が扱った落とし物の約2割、32万件は、駅や列車内など鉄道施設からのもの。これを受け、鉄道会社は新たな取り組みを始めている。

 約4万件の落とし物を県警に提出した名古屋鉄道(名古屋市)は1月、太田川駅(東海市)近くに「忘れ物取扱所」を開設した。免許証や現金などを除き、沿線の落とし物を一元管理する。県警への提出件数も2千件程度まで減らせる見通しだという。

 名鉄はAI(人工知能)を活用した「チャットボットサービス」も始めた。スマートフォンなどで質問項目に答えると、落とし物が届いているか確認できる。県警は「遺失物を発見するのにとても役立つ。このような取り組みがほかでも広がるとうれしい」と話す。(米田怜央)

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