東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で事故が起きた際の被曝(ひばく)シミュレーションを新潟県が手がける方針について、立憲民主党の米山隆一衆院議員(新潟4区)は17日、「実際に起こった福島第一原発事故などの条件を適用した現実的なシミュレーションにしてほしい」と注文をつけた。この日、新潟市内で立憲県連の常任幹事会があり、その後の報道陣の取材に語った。
原子力規制委員会は今秋、架空の原発をモデルにした事故時の被曝シミュレーションの結果を公表した。それによると、被曝量はUPZ(5~30キロ圏)全域で、IAEA(国際原子力機関)の基準を下回ったという。これを受け県は、架空の原発ではなく柏崎刈羽原発のシミュレーションを実施する方針を決め、専門機関との調整を始めた。
県は、規制委と同様に、新規制基準に基づく重大事故対策が奏功したと想定。炉心は損傷するが格納容器は破損せず、内部圧力で放射性物質が漏れ出すケースと、フィルターベントをしたケースの2パターンで試算する方針を示していた。
これに対し、米山氏は「せっかくシミュレーションする意味がない」と批判。「現実に起こった事故の設定のもとでやっていただきたい。それでないならごまかしというか、結局、疑念が深まってしまうだけだ」と主張した。
米山氏は「新規制基準による対策で重大事故の確率は減るだろうが、ゼロではない。これだと相変わらず安全神話に基づいていると思われるので、福島事故が起こったらどうなるか、そのパターンをやるべきだ」とも話し、重大事故対策が奏功しなかった場合についても、シミュレーションするべきだとした。
県の担当者は取材に、「新規制基準は二度と福島原発のような事故が起きないように定められており、規制委の条件によるシミュレーションには意味がある。さまざまな仮定を挙げれば際限がない」と話している。(井上充昌)
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