国会議員や警察・検察の元トップ、犯罪被害者遺族らでつくる「日本の死刑制度について考える懇話会」が11月13日、現行の死刑制度について「放置の許されない数多くの問題を伴う」とし、存廃や改善策について国に議論を求める提言を公表した。日本の死刑制度はどうあるべきか。なぜ今話し合う必要があるのか──。懇話会の座長を務めた井田良・中央大学大学院教授に聞いた。(三宅千智) 【関連記事】「まだ廃止していいと思えない」 委員を務めた金高雅仁・元警察庁長官のインタビュー

◆捜査機関の元トップも加わり、議論が深まった

—懇話会の意義は?  懇話会には、死刑制度に懐疑的な人だけでなく、元検事総長、元警察庁長官も加わった。これまでの職責からも、制度自体に否定的なことを言えない立場だった2人がいたからこそ、相当に議論が深まった。

井田良(いだ・まこと) 1956年生まれ。中央大大学院教授、慶応義塾大名誉教授。日本学術会議会員、法制審議会会長などを歴任した。専門は刑法。著書に「死刑制度と刑罰理論」など。

 会議の意味が出てくるのはこれからだ。国に握りつぶされたり、無視されたりしたら意味がない。協議会なり調査会なり、どういう形でも構わないから、まずは議論を始めてほしい。  1966年に静岡県で起きた一家4人強盗殺人事件で死刑囚となり、再審無罪が確定した袴田巌さん(88)を巡っては、超党派の国会議員連盟などが再審法の改正を求めて声を上げている。同じように国会議員に動いてほしい。 —計12回の会議で印象的だったことは?  死刑制度のどこに目を付けるかはそれぞれで違う。情報公開や世論調査のあり方に問題意識を持つ人もいれば、「加害者の家族は一種の被害者ではないか」と考える人もいた。加害者家族は世間から非難を浴び、大変な偏見と差別を受けるので、支援が必要だと。  日本の国際的立場を考える人もいた。英国のジュリア・ロングボトム駐日大使は日本の死刑制度を巡り「日本が掲げる人権外交と行動との間に隙間がある」と指摘した。つまり、日本が外国の人権問題について発言しても「でも、あなたの国には死刑があるでしょう」という話になる...

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