警察庁は18日、全国の警察本部長らを集めた定例の会議を東京都内で開いた。露木康浩長官は訓示で、関東地方などで相次ぐ強盗事件などについて「国民の体感治安が著しく悪化している。手口が残虐で、いつ自分が被害に遭うかもしれないという不安が広がっている」と指摘し、全国警察が連携した取り締まりの徹底を指示した。

 一連の事件では、SNSを通じた「闇バイト」で実行役を募り、匿名性の高いアプリなどを使って犯行の指示が行われているケースが多い。露木長官は「極めて由々しき事態だ」と指摘し、犯罪に加担しようとする人たちの保護を警察が進めているとして、「実行者募集についての相談などに真摯(しんし)に対応することが新たな犯罪の防止に資する」と指摘し、地域での安全活動や自治体への働きかけも進めるよう求めた。

 また露木長官は、本部長の自己規律について異例の言及を行った。

 鹿児島県警の野川明輝前本部長が一連の不祥事で指揮が不十分だったなどとして処分を受けたほか、京都府警の白井利明前本部長は部下に「殺すぞ」と発言し、更迭、処分された。

 露木長官は、本部長が自らの方針を明確に示して幹部職員との意思疎通を十分図ることなどが不可欠であるにもかかわらず、「今年に入り、適切な行動が取られたとは言い難い事案が相次いで発生したことは誠に遺憾だ」と述べた。そのうえで、「本部長の一言、一挙手一投足が組織や職員に与える影響の大きさを自覚し、自身のあり方を省みつつ、適切に立ち振る舞うことで、真のリーダーシップを発揮してほしい」と話した。(編集委員・吉田伸八)

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