鼓膜でなく骨の振動で音を伝える軟骨伝導の研究を続けている奈良県立医科大の細井裕司学長が、第36回ミュージック・ペンクラブ音楽賞の著作出版物賞を受賞した。著作「医療の最先端 奈良医大からの発信」(創元社)などの研究が評価された。授賞式は4月16日、東京都北区の北とぴあで開かれる。  賞は音楽評論家やライターら約140人が投票し、「クラシック」「ポピュラー」「オーディオ」の3部門で、年によって計10~20賞を選ぶ。細井氏はオーディオ部門の著作出版物賞に選ばれた。  軟骨伝導は耳の周囲の軟骨に振動を与えてスピーカーのような働きをさせ、耳の穴(外耳道)の中に音波を発生させる。この仕組みを利用したヘッドホンなどが市販されている。賞を主催するミュージック・ペンクラブ・ジャパンは受賞理由について「加齢による難聴だけでなく、若年性難聴にも光が当たる。現在も引き続き研究が進められる将来的な可能性を示唆した貴重な著書である」とした。  ほかにクラシックのオペラ・オーケストラ部門は日本フィルハーモニー交響楽団、ポピュラーの最優秀作品賞は挾間美帆さんのアルバム「ビヨンド・オービット」が選ばれた。 

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