法曹関係者や国会議員、学者らでつくる「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長・井田良中央大大学院教授)は13日、報告書を取りまとめた。誤った裁判や冤罪(えんざい)の恐れがあるなどの問題点を指摘した上で、死刑の存廃や制度の在り方を検討する公的な会議体を早急に設置するよう、国会と内閣に提言した。

記者会見する「日本の死刑制度について考える懇話会」の井田良座長(13日、東京・内幸町の日本記者クラブ)=共同

懇話会の委員が日本記者クラブで記者会見し、井田座長は「死刑制度の問題点を明らかにした。改革を進めてほしい」と訴えた。交通事故で息子を亡くした片山徒有さん(68)は、死刑事件の遺族から誤判を懸念する声を聞いたと説明。「司法は精密ではない。死刑制度はなくなってもらいたい」と語った。

報告書は「誤判や冤罪の可能性が常につきまとい、誤った裁判に基づく執行に至れば取り返しのつかない人権侵害となる」と強調。10月に再審無罪が確定した袴田巌さん(88)のケースに触れ「ひとたび誤りが起きれば是正に非常な長期間を要する」と問題提起した。

また、死刑廃止が国際的潮流となっており、容疑者の引き渡しなど国際司法共助に影響が出ていないかどうかも検討すべきだとした。存廃を議論する際には「被害者遺族の理解を求める努力が必要」とも指摘した。

懇話会は日弁連が事務局を務め、2月に設立。委員16人には林真琴元検事総長と金高雅仁元警察庁長官の検察・警察OBや、立憲民主党の西村智奈美氏らが入った。〔共同〕

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