報酬を支払って書いてもらったインフルエンサーのSNS投稿を第三者の投稿であるかのように自社サイトで掲載したのは「ステルスマーケティング(ステマ)」に当たるとして、消費者庁が13日、大正製薬に景品表示法違反で再発防止の措置命令を出した。

自社サイトの表示を企業側が見落とす「うっかりステマ」は他社でも起きている。自社媒体でSNS投稿や口コミを紹介する場合はあらためて注意が必要だ。

消費者庁によると、大正製薬はインフルエンサーに対して同社のサプリメント商品「NMN taisho」に関する投稿を画像共有アプリ「インスタグラム」でするように依頼し、報酬や商品を提供していた。同社の通販サイト内でも同商品の紹介ページで、インフルエンサーらの投稿内容を掲載していた。

SNS投稿には会社によるPRであることを明記した一方、自社サイトでは記載せず、第三者が自由な意思で書いたかのような表示になっていたという。「一般消費者が事業者の表示であると判別するのが困難」とし、景表法違反にあたると判断した。命令は13日付。

企業の広告であることを隠し、公平な口コミを装って商品やサービスを宣伝する「ステマ」の横行は社会問題化し、2023年10月に景表法が禁じる不当表示に追加された。ステマ表示に対する行政処分は6月以降続き、今回で3件目となる。

8月にはジム運営のRIZAP(ライザップ)も今回と同様の違反行為で措置命令が出された。インフルエンサーに「タイアップ投稿」としてSNSで投稿してもらった内容を抜粋し、第三者の顧客の声として自社サイトで紹介していた。

SNSで影響力のある「インフルエンサー」に金銭などの対価を提供し、自社の商品を好意的に紹介してもらう場合、企業による表示であることを消費者がわかるようにしなければならない。

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