再審公判で被告を支持するバッジを外すよう裁判官から求められた弁護士や、民事裁判の傍聴時に性的少数者を象徴するレインボーカラー(虹色)の靴下の柄を隠すよう求められた学者ら3人が13日、裁判所の対応は違法として、国に1人当たり110万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

◆袴田さん支援のバッジ、パーカ

 原告は、1966年の静岡県一家4人強盗殺人事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(88)の弁護団事務局長の小川秀世弁護士(静岡県弁護士会)、支援団体「袴田サポーターズ・クラブ」(浜松市)の清水一人代表、明治大法学部の鈴木賢教授。

静岡地裁から外すよう求められた「袴田サポーターズ・クラブ」のピンバッジ(一般社団法人LEDGE提供)

 訴えによると、小川氏は4月に静岡地裁で開かれた再審公判で、裁判長から袴田サポーターズ・クラブの会員章であるピンバッジ(直径2センチ)を外すよう指示された。公判への影響を心配し、次回公判で外した。

静岡地裁職員に「HAKAMADA」の文字部分にテープを貼り付けられたパーカ(一般社団法人LEDGE提供)

 清水氏もこの公判を傍聴するため、バッジを着け、「FREE HAKAMADA」(袴田さんを自由に)と記されたパーカを着て法廷に入ろうとし、職員に「入れない」と言われてバッジを外し、パーカの「HAKAMADA」の部分にテープを貼り付けられた。

◆「レインボー柄が見える状態では入れない」

 鈴木氏は昨年6月、福岡地裁で開かれた同性婚訴訟の判決公判の傍聴のため法廷に入ろうとした際、職員に「レインボー柄が見える状態では入れない」と言われ、柄の部分を折り返して傍聴したという。

福岡地裁からレインボー柄を隠すよう求められた靴下(一般社団法人LEDGE提供)

 原告側は、原告は平穏に傍聴したり、必要な弁護活動をしようとしたりしただけで、裁判所の対応は「法廷における裁判所の職務の執行を妨げる者」や「不当な行状をする者」に退廷などを命じられると定めた裁判所法の要件を満たさず、違法と主張している。(加藤益丈) 

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