目次
-
受章者の声
-
ちばてつやさん “全ての漫画家たちの創作活動への評価”
文化勲章の受章者は7人
文化勲章を受章するのは次の7人の方々です。
東京大学名誉教授で商法学が専門の江頭憲治郎さん(77)。
従来の商法学の研究方法を一新してその水準を高めるとともに、会社法の制定にも尽力するなど学問の発展に貢献しました。
詩人の高橋睦郎さん(86)。
現代詩を中心に、短歌や俳句、小説、オペラなどさまざまなジャンルで精力的に創作活動を繰り広げ、文学界の向上や発展に長年にわたって寄与し続けました。
日本画家の田渕俊夫さん(83)。
日本画の確たる表現を築いたとして高く評価され、日本美術院の理事長として日本画全体の発展に寄与したほか人材育成や文化財の保護にも多大な貢献をしました。
漫画家のちばてつやさん(85)、本名・千葉徹弥さん。
戦後漫画史の金字塔として語り継がれる「あしたのジョー」をはじめ数々の優秀な作品を発表し、漫画家の育成にも力を尽くすなど芸術文化の発展に大きく貢献しました。
チェロ奏者の堤剛さん(82)。
60年以上にわたってオーケストラやリサイタルなど活躍を続けているほか、国内外の大学で教べんを執り、関係団体の要職を歴任するなど芸術文化の振興に寄与しました。
横浜国立大学名誉教授で環境リスク管理学が専門の中西準子さん(86)。
環境問題の解決を目指した実際的な研究を行い、多くの政策立案や法改正に貢献し福島第一原発事故のあとには放射能汚染などリスク情報の提供にも取り組みました。
東京大学名誉教授で細胞分子生物学が専門の廣川信隆さん(78)。
細胞内のたんぱく質の構造を明らかにする画期的な手法を開発し、細胞の構造や機能を解明するなど顕著な功績を挙げました。
文化功労者に選ばれたのは20人
また、文化功労者に選ばれたのは次の20人の方々です。
プロゴルファーの青木功さん(82)。
昭和58年に日本の男子として初めてアメリカツアーで優勝するなどトッププレイヤーとして活躍し、世界殿堂入りを果たしました。
俳優の草笛光子さん(91)、本名・栗田光子さん。
映画、演劇、ミュージカル、テレビなどで幅広く活躍し、芸術文化の発展、振興に多大な貢献をしました。
京都大学名誉教授で免疫学が専門の稲葉カヨさん(74)。
人形浄瑠璃文楽人形遣いの吉田和生さん(77)、本名・荻野恒利さん。
元日本水泳連盟理事・シンクロナイズドスイミング委員長の金子正子さん(80)。
大阪大学名誉教授で応用物理学が専門の河田聡さん(73)。
千葉大学名誉教授で生物環境学が専門の古在豊樹さん(81)。
東京大学名誉教授で日本中世史が専門の五味文彦さん(78)。
作曲家・音楽評論家の近藤譲さん(76)、本名・近藤讓さん。
東京大学名誉教授で労働法学が専門の菅野和夫さん(81)。
陶芸家の鈴木藏さん(89)。
建築家の妹島和世さん(67)。
書家の高木聖雨さん(75)、本名・高木茂行さん。
慶應義塾大学名誉教授で日本近世史が専門の田代和生さん(78)。
東京大学名誉教授で自然言語処理・人工知能が専門の辻井潤一さん(75)。
日本画家の那波多目功一さん(90)。
東京大学名誉教授で世界史・グローバルヒストリーが専門の羽田正さん(71)。
メゾ・ソプラノ歌手の藤村実穂子さん(58)。
俳人の矢島渚男さん(89)、本名・矢島※薫さん。
※薫はくさかんむりの真ん中が離れ、その下は「熏」
演劇評論家の渡辺保さん(88)、本名・渡邊邦夫さん。
文化功労者のうち女性は6人で、これまでで最も多くなりました。
文化勲章の親授式は来月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は来月5日に都内のホテルで、それぞれ行われます。
受章者の声
ちばてつやさん “全ての漫画家たちの創作活動への評価”
文化勲章を受章する漫画家のちばてつやさんは、東京生まれの85歳。
17歳で漫画家としてデビュー、貧しくも誠実に生きる主人公を描いた作品やスポーツを題材にした作品などでヒット作を連発しました。
中でも1968年に連載が始まったボクシング漫画「あしたのジョー」は「立て、立つんだジョー!」などの名ぜりふとともに大ヒット。
ジョーのライバル、力石徹が作中で亡くなった時には、実際に葬儀が行われるなど社会現象にもなり、“戦後漫画史の金字塔”として、今も親しまれています。
少年時代を旧満州で過ごしたちばさんは、過酷な引き揚げ体験をもとに反戦や平和の大切さを訴える活動も続けてきました。
また、日本漫画家協会の会長も務め、後進の育成にも力を尽くしています。
漫画家が文化勲章を受章するのは初めてで、ちばさんは「私の先輩たちから現在に至る全ての漫画家が子供の読み物と思われていた漫画を『文化』と認識してもらえるまでに育て上げてきました。今回は、その全ての漫画家たちの創作活動に対してご評価をいただいたのだととても嬉しく誇らしく思います。漫画がこれからもずっと読者にとって身近で親しみやすい『文化』として愛され続けてほしいと心から願っています」などとコメントしています。
高橋睦郎さん “ボロボロになっても もっともっと過激に”
文化勲章を受章する詩人の高橋睦郎さんは現在の北九州市出身の86歳。
中学生のころ、古代ギリシャの詩に出会い詩の創作を始め、1964年に刊行の詩集「薔薇の木・にせの恋人たち」が三島由紀夫に絶賛され注目を集めました。
詩集「兎の庭」や句集「十年」など、現代詩を中心に、短歌や俳句からオペラの台本や新作の能・狂言に至るまで幅広く創作活動を行ってきました。
高橋さんは受章について「これまでやってきて苦しんできたことについて『それでよかったんじゃない、これからもっと苦しめ』ということだと思うので、うれしいというよりも心を引き締めてもっと苦しもうと思います」と話していました。
その上で、今後の活動について「詩が好きだから、詩に出会ったからそれしかやることがないから、最良のものを求めていきたい。体も精神も老化してボロボロになっていくけれどもっともっと過激になっていきたい」と話していました。
草笛光子さん “作品を楽しんでくださる皆様に感謝”
文化功労者に選ばれた俳優の草笛光子さんは、横浜市出身の91歳。
松竹歌劇団出身の草笛さんは、豊かな歌唱力で「ラ・マンチャの男」や「シカゴ」などに出演して日本のミュージカルを草創期から支えたほか、映画やテレビドラマでも幅広い役柄を演じ、70年以上にわたり第一線で活躍しています。
近年では、NHKの大河ドラマ「真田丸」で、真田家のゴッドマザー「とり」をコミカルに演じたほか、「鎌倉殿の13人」では源頼朝の乳母役で存在感を見せました。
また、ことしは、90歳で主演した映画「九十歳。何がめでたい」がヒットし、大きな話題となりました。
草笛さんは「大変光栄に思います。後ろを向いたらまあまあ長い時間、舞台、ミュージカル、映画、テレビドラマなど幅広い分野でいろいろな作品を作ってまいりました。これまで私を育ててくださったたくさんの方々、作品を楽しんでくださる皆様に感謝しかありません」とコメントしています。
青木功さん “ゴルフは私の天職”
文化功労者に選ばれたプロゴルファーの青木功さんは、千葉県出身の82歳。
独特のフォームから繰り出す正確なショットに加え、勝負強いパッティングが持ち味で「世界の青木」として知られています。
1964年にプロに転向し、国内ツアーで賞金王に5回輝きました。
さらに海外でも、1980年の海外メジャー大会、「全米オープン」で2位、1983年には日本の男子として初めてアメリカツアーで優勝するなどトッププレーヤーとして活躍し、2004年には日本男子初のゴルフの世界殿堂入りを果たしました。
その後もシニアツアーを中心に出場を続け、2017年には国内ツアーの大会にツアー史上最年長出場記録となる74歳7か月で出場しました。また、2016年からは日本ゴルフツアー機構の会長を4期8年にわたって務めました。
青木功さんは「『プロゴルファー生活60周年』という節目の年に、文化功労者に選出頂き、大変うれしく思っております。ゴルフは私の天職であり、『ゴルフが上手くなりたい』それだけを考え国内のトーナメントを中心にプレーした後、海外ツアーにも挑戦しました。名誉ある文化功労者に選んで頂けたことは、長年、私を支えてくれた周りの方々のおかげだと心から感謝しております」などとコメントしています。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。