横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)の建設計画を巡り、簡略化した環境影響評価(アセスメント)を認めた国の通知は違法だとして、神奈川、千葉両県の住民約40人が通知の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は、住民側の上告を棄却する決定をした。23日付。裁判官4人全員一致の意見。アセスを適法とし、住民側敗訴とした一、二審判決が確定した。  一、二審判決によると、東京電力と中部電力が共同出資する発電会社「JERA(ジェラ)」は、2013年に稼働停止した同発電所敷地内に、新たに2基の石炭火力発電所(出力計130万キロワット)の建設を計画した。旧施設より大気汚染物質などの排出量が減るとし、建て替えで環境負荷が減る場合は簡略化できるとの環境省の指針に従い、アセスを実施。経済産業相は2018年11月、アセスを認める通知をした。

2023年6月から稼働した最新の石炭火力発電所=2023年1月撮影、神奈川県横須賀市で

 住民側は、JERAが稼働率の低い近年の実態を反映せずに排出量を比較し、簡略化の条件に反していると主張。一審東京地裁判決は「条件違反とは言えない」、二審東京高裁判決は「指針の逸脱とは言えない」と判断した。  住民側は新発電所が出す二酸化炭素が地球温暖化を招くとも訴えた。二審判決は「温暖化に伴う災害の規模や頻度を有意に増やすとは認めがたい」と退けた。同発電所1号機は昨年6月、2号機は同12月に営業運転を始めた。(三宅千智) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。