東京電力福島第1原発事故によって放射能汚染された福島県飯舘村で、主に野生の食用キノコを採取し、放射性セシウム濃度を調べた。例年より低めの値となったものの、依然として、そのまま食用とするにはあまりに高い濃度だった。(山川剛史)

◆こんなにも豊かな山の恵みがありながら

 採取地を決めた調査は、今回が6回目。9月以降、雨の日が非常に多かったせいか、見慣れないさまざまな色のホウキタケの仲間や、調査に協力してもらった村民の伊藤延由さん(80)も「初めて見た」という奇妙な形をしたコウボウフデにも出合った。  奥深いキノコの世界に触れられたという意味では楽しい採取だったが、セシウム濃度や空間の放射線量を測ると、厳しい現実に引き戻された。  これまでの本紙の調べでも、キノコは、塩漬けしてきっちり塩抜きをすればほぼセシウムが抜けることが分かっている。ただし、古くから塩漬け保存して食べてきたシメジ類やナラタケなどはいいが、コウタケやマツタケなどでは重要な香りが抜けてしまう。かといって、炊き込みご飯や汁ものとしてそのまま食材に使えば、内部被ばくにつながる。  こんなにも豊かな山の恵みがありながら、まともに享受できない現実があまりにも悲しい。 

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