証券取引等監視委員会が入る庁舎=東京・霞が関

 金融庁に出向中の裁判官が、職務で知った株式公開買い付け(TΟB)などの情報を基に株取引をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で、関係先を強制調査したことが19日、分かった。

 監視委は東京地検特捜部への告発も視野に、取引状況の分析を進めている。

 関係者によると、強制調査を受けたのは、裁判所から金融庁に出向中の30代の男性裁判官で、TOBを予定する企業から提出される書類の審査などを担当していた。不審な取引を把握した監視委が9月、関係先を強制調査した。

 金融庁は「調査結果を踏まえ、関係法令に照らして厳正に対処する」としている。

 金商法は、上場企業に関するTOBなどの重要事実を職務上知った会社関係者らが、公表前に株式を売買することをインサイダー取引として禁じている。上場企業に対して許認可などの権限を持つ公務員も対象となる。

 裁判所では多様な経験をさせる目的で、若手裁判官を中心に行政機関などへ出向させる制度を設けている。

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