会計検査院は、防衛省の出先機関が令和4年度までの5年間に全国各地の自衛隊の基地や弾薬庫、それに官舎などで行った建設工事のうち、地下に想定外のものが埋まっているといった設計段階で予見できない事情が発生するなどしたため契約変更を行って追加工事を発注したケース、1200件余りを調べました。
その結果、国の機関が発注する建設工事は一般競争入札を原則とすると法令で定められているのに、3%に当たる34件、金額にして10億6200万円余りが、すでに結ばれている契約を変更する形で同じ業者に発注されていたことがわかりました。
こうした法令に沿わない発注を行っていたのは、東北、北関東、南関東、中国四国、九州、沖縄の防衛局で、事務手続きが遅くて入札する余裕がなくなっただけなのに、天変地異など予見できない緊急事態が起きた場合と同じように、競争方式では契約目的を達することができないと判断していたということです。
会計検査院は、出先機関が会計法令などを十分理解していなかったうえ、防衛省も手続きにかかる期間を十分確保し一般競争入札で契約するよう周知できていなかったと指摘し、改善を求めました。
防衛省は「指摘を踏まえて、早期に施設を整備する必要がある場合にも一般競争入札を行って契約するよう各地の防衛局などに通知した」としています。
沖縄防衛局の発注の工事では
問題を指摘された6つの防衛局は、速やかに発注するため、現場周辺ですでに工事を受注している業者に追加工事も請け負えるか問い合わせたうえで、入札にかけずにそのまま発注していたということです。
このうち、沖縄防衛局が平成30年度に久米島にある航空自衛隊の分屯基地で行った鉄塔の建設工事では、年度内に完成させたいという部隊からの要望に応じて、那覇基地の工事を請け負っていた会社に契約変更の形で追加発注していました。
契約変更を行ったのは8月でしたが、この鉄塔工事は、2年前に設計が終わり、年度当初に予算がついていたもので、会計検査院は、このケースも事務手続きが遅くて時間が足りなくなっただけで、一般競争入札の例外と認められるような緊急性はなかったと指摘しています。
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