◆校長らから「続けてほしい」と言われたのに
訴状によると、原告10人は5~26年間にわたり1年度ごとに任用を更新。2023年度は都教育委員会が定める更新回数の上限に達したため、一般受験者と同じ公募試験を受けたところ、不合格や補欠に当たる「補充任用」となり、2024年度は任用しないと通知された。校長らからは「続けてほしい」と言われるなど、2024年度の更新も期待するのは合理的だと主張。更新拒絶は客観的に合理的な理由を欠くなどとして、無効を訴えている。 提訴後に都内で会見を開いた弁護団の笹山尚人事務局長は「働き続けられる限り続けたいと思うことが、当然の期待であって、そのことを奪うことに大きな問題がある」と述べた。会見で提訴した理由を説明する原告の女性(39)=9日、東京・霞が関の厚労省で
都教育庁指導企画課の福田忠春主任指導主事は「現時点で内容を把握していないためコメントは差し控える」と取材に答えた。 都SCの雇い止めを巡っては、「校長からの評価も高くて面接でも滞りなく受け答えをしたのに不合格だった」など、選考方法に疑問を呈する相談が労働組合「心理職ユニオン」(豊島区)に数多く寄せられた。◆「多くの人の人生や職業人としての誇りを傷つけた」
原告からは、働き続けることを希望した現役のSC250人が「雇い止め」の通知を受けた事実を「風化させたくない」との声が上がる。 「来年、再来年と雇い止めが繰り返されて、SCが使い倒される仕事と思われることが怖い」。原告の女性(39)は提訴に踏み切った理由を明かす。(イメージ写真)
勤務先の校長に不合格だったと伝えると、高い評価を付けていたと教えてくれた。続けてほしいと思われていたのだと知った。担当する児童に「4月から学校にいない」と告げると、黙ったまま何も反応しなかった姿が印象に残る。支援が突然終わることで「もう二度と、誰か他人を頼ろうと思わなくなってしまうかもしれない」と話す。 原告で現職の遠藤みち恵さん(62)は、1月に補充任用の通知を受け取り、3月25日に採用だと通知された。担当は1校だけで、2023年度に働いていた3校とは異なる勤務先だった。 4月に各校のSCが入れ替わり、現場は滞りなく動いているが、こうした現状の中で遠藤さんは「多くの人の人生や職業人としての誇りを傷つけたのを忘れるな。風化させてはならない」との思いを抱く。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。