旧優生保護法下の強制不妊手術を巡り、救済のための補償法が8日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。国に損害賠償を求めて訴訟を起こした原告や弁護団が8日夜、東京都内で記者会見を開いた。全国被害弁護団の新里宏二共同代表は「大きな闘いの一区切り。これからが全体の被害救済のための第一歩だ」と述べた。(三宅千智)  今回の補償法は、一連の訴訟に参加していない被害者が対象。14歳の時に手術を強いられ、7月の最高裁判決で勝訴が確定した東京訴訟の元原告北三郎さん(81)=活動名=は「手術のせいで人生は大きく狂わされた。同じ悲劇を絶対に繰り返してほしくない」と強調。「声を上げることができなかった被害者、手術のことを今も知らない被害者、すべての被害者を救済してください」と訴えた。

旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る補償法成立を受け、記者会見する(右から)北三郎さん、尾上一孝さん、尾上敬子さん=8日、参院議員会館で

 今後は制度の周知が課題とされる。旧法下の不妊手術は約2万5000件、人工中絶手術は約5万9000件とされる。一方、こども家庭庁によると、不妊手術を受けた人に一律320万円を支払う一時金支給法の認定を受けたのは1129件(8月末時点)にとどまる。  新里弁護士は「プライバシーに配慮しながら個別通知をどうやるかの議論を、こども家庭庁と進めたい。予算措置も必要だ」と説明。「極めて重大な人権侵害を国は放置してきた。被害者に謝罪し『この補償法のお金をぜひ受け取ってほしい』というスタンスが求められている」と話した。 

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