財務省によると、2024年1月から6月までの上半期に全国の税関が摘発した金地金の密輸は、件数が前年同期比81%増の228件、押収量は同8.1倍の937キログラムと大幅に増加した。23年1年間の摘発件数は218件、押収量は268キロ。上半期だけで前年を超える実績を記録した。

金地金の密輸は、2014年の消費税率引き上げ(5%から8%)に伴い急増し、17年の税関押収量が6277キロに達した。密輸することで消費税の納付を回避し、国内で消費税分を上乗せして転売することで利ザヤを稼いでいると指摘された。

その後、金の密輸入に対する罰則が大幅に引き上げられたことや、コロナ禍による国際線航空便の大幅減などで密輸は減少したが、ここにきて再び摘発件数、押収量とも拡大に転じた。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化により、金価格が高騰していることが背景にあるとみられる。

24年上半期の密輸を形態別にみると、航空機旅客が持ち込もうとしたものを摘発したケースが209件(前年同期比74%増)、押収量は272キロ(同2.8倍)だった。航空貨物による密輸の摘発は13件、押収量は651キロに達した。

密輸の仕出地は香港が最も多く、押収量は812キロと全体の9割近くを占めた。

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