石破茂首相が1カ月前、マイナ保険証と現行の健康保険証との「併用も選択肢として当然」と言っていたのは、何だったのか。 石破首相は7日、衆院本会議の代表質問で、マイナ保険証について問われ、「現行の健康保険証の新規発行終了につきましては、法に定められたスケジュールにより進めていきます」と明言した。 国民の不安払拭に向けて配慮すると述べたものの、保険証代わりに交付する「資格確認書」の存在について言及しただけ。保険証廃止に「納得と共感」を求めるための新たな施策を打ち出すことはなかった。(マイナ保険証取材班)

衆院本会議での代表質問に答弁する石破首相=7日、国会で

◆所信表明では言及なく

石破首相は、自民党総裁選への出馬を表明していた9月8日、保険証廃止について「期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然だ」と記者団に語っていた。 総裁選で掲げる政策発表を行った10日の会見でも、「一部の人々に不便や不利益を与えないような配慮をしながらやっていきたい」と訴えていた。 しかし、新内閣が発足すると、関係する平将明デジタル相も福岡資麿厚生労働相も「12月2日に保険証の新規発行を停止する方針は堅持したい」などと明言した。 石破首相は10月4日、国会で行った所信表明で、マイナ保険証に言及しなかった。

◆「併用」発言の意図、問われたのに

自らの口で語ることがないまま迎えた7日の代表質問。 立憲民主党の吉田晴美衆院議員が「総理、廃止時期は見直すということでよろしいですか」と迫った。

衆院本会議で代表質問する立憲民主党の吉田晴美議員=7日、国会で

吉田氏は、石破首相の「併用も選択肢として当然」という発言も引用し、「この併用とは、12月2日からの1年間を指すのではなく、それ以降もずっと併用できるという理解でよろしいでしょうか」と追及した。 石破氏は「現行の健康保険証の新規発行終了につきましては、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナー保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられますように、資格確認書の活用も図ってまいります」と答弁した。 自らの「併用」発言に対する説明はなかった。     ◇  東京新聞ではマイナ保険証に関する情報やご意見を募集しています。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。 

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