大手小売りや外食各社が、来店客による店員への理不尽な要求「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する対応指針を相次いで公表している。社内向けだったマニュアルなどを外部にも示し、社員を守る姿勢を明確にする狙いがある。人手不足の中で、カスハラが離職の深刻な原因となっているためだ。
東京商工リサーチが8月に実施した多業種対象の調査では、全国約5千社のうち7割以上がカスハラ対策を未実施だった。身近な小売店などでの目に見える取り組みが、被害抑止の社会的動きを広げる可能性がある。
大手コンビニではセブン―イレブン・ジャパンが9月、2022年に策定した社内向け指針の公表に踏み切った。ファミリーマートは10月から各店舗でカスハラ防止ポスターの掲示を始めた。
百貨店の高島屋は7月、カスハラの基本方針をホームページで公開。牛丼チェーン「松屋」を手がける松屋フーズも9月に公表し、店員にも周知している。いずれも理不尽な要求や暴力、謝罪動画の拡散などをカスハラと定義し、組織的に対応する姿勢を強調した。
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