28日、石川県輪島市で片付けに追われる人たち(潟沼義樹撮影)
◆来月には修理が始まるというタイミングで
元日の地震で住民がヘリコプターで集団避難した輪島市門前町深見。今回の豪雨では、地区を流れる川があふれ、大量の泥水が周辺の家屋を襲った。住民の多くは仮設住宅に身を寄せていたが、地区に続く道は複数箇所で土砂崩れが発生。途中から歩いて泥のかき出しなどに向かう生活が続く。 「もうあきらめた。どうにもならんよ」。竹田仁さん(71)は、大量の泥が入った家を前に嘆いた。自宅は地震で一部被害が出たが、修理して住み続けるつもりだった。来月には修理が始まるというタイミングで起きた水害に「車も通れんし、後片付けが大変。地震よりひどい」。生まれてからずっと深見で暮らしてきたが、今回の被害で離れざるを得ないという。28日、豪雨による冠水で泥が流れ込んだ住宅。ボランティアが家具を運び出していた(潟沼義樹撮影)
◆「今回のような水害はまた来る」と涙ぐみ
大量の流木や土砂が家の中まで押し寄せた女性(76)も「手のつけようがない」とぼうぜんとする。元日の地震で大規模半壊の判定を受けた。「父が自ら建てた家で思い入れがある。せめて母がいるうちは残しておきたい」と直して暮らす予定だった。しかし、今回の豪雨で考えが変わった。「最近の異常気象を考えると、今回のような水害はまた来る。もう捨てます」と涙ぐんだ。 家に泥が入り、家の前の道路が陥没した川端勝一さん(73)も自宅の被害を見て、地区に住み続けるのは難しいと判断した。「東京で暮らす子どもには迷惑をかけられない。市内でどこか賃貸を借りられないかな」と話した。(脇阪憲)上流から流れてきた木々は手付かずのまま残っていた=27日、石川県輪島市門前町深見で
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