◆「より良いリーダー誕生の確率が高まる」
「東修平が知りうる人物が最良の候補者とは限りません。なるべく多くの方に可能性をひらくことで、四條畷市にとってより良いリーダーが誕生する確率が高まる」。東氏は自身のウェブサイトで求人サイトを使う理由を説明する。四條畷市長の後継候補を公募するエン・ジャパンの特設ページ
サイトの説明によると、公募は東氏の政治団体が行い、費用も賄う。候補者は10月15日まで募り、月内に決定。その後の選挙運動などもサポートする。選考に当たっては、東氏のほか、市民も面接に加わるようにするという。 東氏は外務省職員などを経て、2017年、当時全国最年少の28歳で四條畷市長に当選した。同年には副市長をエン・ジャパンの求人サイトを通じて公募、リクルート元社員の女性が就任した。◆石丸伸二氏の「副市長」は議会が却下
これ以降、静岡県掛川市、広島県安芸高田市、富山県氷見市が同社を通じて副市長を公募している。 ただ、このうち安芸高田市では21年、公募で内定した副市長の選任案を市議会が否決。実際に副市長のいすに就くことはなかった。公募を進めた当時の市長の石丸伸二氏と議会の対立が背景にあったとされる。石丸伸二氏
実は、自治体や中央省庁が職員を求人サイトで公募する方法は珍しくなくなっている。専門部署を設けるなど力を入れているのがエン・ジャパンで、広報担当者は「官公庁職員の求人は順調に増えている。自治体に当社から特に営業をかけていないが、問い合わせが多い。今後も官公庁への民間人材登用は続くだろう」とみる。◆官公庁、専門職の求人は珍しくない
同社の求人サイトを見ると、警察庁、農水省、札幌市、千葉県、愛知県豊田市などさまざまな官公庁が求人を出している。デジタル人材など専門職を求める内容が目立つ。公務員のなり手不足もある中で、自前での育成が難しい即戦力の専門人材を民間から確保しようとしている。 こうした動きは市長や副市長のような特別職にも広がるのだろうか。先の広報担当は「求人サイトを使う手法は認知されるようになっていると思うが、まだ主流になっていくような状況ではない」と慎重だった。◆世襲でない「面白い試み」にも見えるが
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「地方自治体では首長も議員もなり手が少なく、その解消につながるかもしれない面白い試みだ。政治家は2世、3世と世襲になり閉鎖的になりがちで、政治への人材を開放するという意味もあり、うまくいけば広がるかもしれない」と一定の評価をする。その上で「仮に四條畷市で公募で選んだ人が当選した場合、東氏の影響力がどの程度残るのかに注目している。単に権力移譲のための公募なら既存政党の後継指名と同じだ」と指摘した。 最終的には選挙で有権者が判断する話だが、千葉県我孫子市長を3期務めた福嶋浩彦中央学院大教授(地方自治)は、今回の後継候補の公募サイトを見て、懸念交じりにこう求めた。 「政治団体による候補者の公募ということだが、まるで市長自身が後任を公募していると誤解を与えるようなサイトになっている。そうなると市長という公職を私物化しているようにも見えてしまう。政治団体としての政策や姿勢をより明確にしてほしい」 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。