御嶽山(長野、岐阜県、3067メートル)の2014年噴火から27日で10年となった。58人が死亡、5人が行方不明となり人的被害では戦後最悪の火山災害。麓の長野県王滝村で追悼式があり、発生時刻の午前11時52分に合わせて遺族らが黙とうした。
御嶽山が見える公園で、47歳だった父親を亡くした松井登輝也さん(27)が遺族代表としてあいさつ。
式典前には王滝村の登山口で、被災者家族会「山びこの会」の9人が、安全登山を呼びかけるメッセージを書いたキーホルダーを登山者に配布した。夫の泉水さん(当時59)を亡くした長野県安曇野市の野口弘美さん(66)は取材に「危険を感じたらすぐに逃げてほしい」と話した。
愛知県刈谷市の野村正則さん(61)は一緒に登ったおいの亮太さん(当時19)が行方不明のまま。「連れて帰りたいという思いが一番」と語り、頂に向かって合掌。山に入っていった。
「毎年必ずと言っていいほど発生する災害の中に埋もれ、忘れたころに噴火して再び大勢が亡くなることはあってはならない」。当日、山頂近くで被災した登山者8人が、式典の実行委員会を通じてコメントを出した。
噴火以後、国は情報発信方法を改善したり「火山調査研究推進本部」を設置したりして防災体制の強化に努めてきた。長野県も登山計画書の提出義務化などの対応を取ってきた。
噴火は紅葉シーズンの土曜日の昼時に発生した。現在の噴火警戒レベルは1の「活火山であることに留意」。〔共同〕
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