能登半島地震で、経営する石川県志賀町のウナギ養殖施設が被災し、今年の出荷を諦めた荒井道雄さん(56)が「来年こそ、多くの人に『能登うなぎ』を食べてほしい」と、クラウドファンディングで資金を集めるなどし、出荷再開に向け奮闘している。
荒井さんは、2017年から養殖事業を手がける。一般的に流通するニホンウナギではなく、フィリピンから輸入した「ビカーラ種」の幼魚を、1年~1年半かけ350グラム以上になるまで育てる。石川県内で唯一のウナギ養殖場だ。
密集しないよう水槽を広くし、能登地方産のカキの殻で水を浄化。餌は無農薬だ。地元の木材を使ったまきストーブで水温を調整するなど「ストレスをかけないための企業秘密はたくさんある」。こうした工夫で育てたウナギは肉厚で上質な脂が特徴で、独自のブランド「能登うなぎ」として、主に県内の飲食店で取り扱われてきた。
元日の地震では養殖場の壁が壊れ、断水や停電が起き、約2500匹が死んだ。残った約500匹はサイズが小さく、今年の出荷は諦めざるを得なかった。
養殖施設の隣の事務所で寝泊まりし、ウナギの体調管理や、出荷再開に向けた作業に追われる荒井さん。必要な費用に充てようと、6月にはクラウドファンディングを実施した。「能登でウナギをいただける日が来ることを願っています」「復興頑張ってください」などの温かいコメントに励まされたという。「必ず復活させたい」と笑顔を見せた。
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