細胞を提供したネコ=大阪公立大提供・共同

細胞の情報を初期化し、さまざまな臓器や組織になれる能力(多能性)を持たせた人工多能性幹細胞(iPS細胞)を巡り、ネコでも高品質の細胞作製に成功したと、20日までに大阪公立大などのチームが発表した。病気のネコから細胞を作ることで、疾患を再現して調べたり、薬の効きを確かめたりすることに応用できるという。

チームによると、さまざまな細胞に分化する能力などiPS細胞の特徴がすべて確かめられたものをネコで作製したのは世界初という。世界的に動物実験を避ける流れがある中で、鳩谷晋吾・大阪公立大教授(獣医学)は「iPS細胞が代わりを果たせるのではないか。難しい病気の解明に期待したい」と話した。

作製に成功したネコのiPS細胞の顕微鏡写真=大阪公立大提供・共同

チームは昨年、イヌのiPS細胞作製に成功。その際に活用した遺伝子と同様のものがネコにもあり、それらをネコの線維芽細胞に入れたところ、作り出すことができた。ただ、初期化しなかった線維芽細胞が多く増殖し、iPS細胞がうまく増えないという問題があった。

チームは初期化する際、薬剤に耐性を持たせる遺伝子を導入。初期化していない細胞だけが死ぬように薬剤で処理したところ、iPS細胞だけを効率よく増やすことができた。

また、採取に麻酔などが必要となる線維芽細胞だけでなく、多くのネコが受ける避妊手術で取り出される子宮由来の細胞でもiPS細胞を作製できたという。細胞は研究機関の要望に応じて提供する予定。〔共同〕

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