能登半島地震による輪島港(石川県輪島市)の隆起や漁港施設の被害で、漁を再開できていない市内の刺し網漁師たちが17日、地震後初めて海に網を入れ、港の北約20キロにある七ツ島周辺の漁場を調査した。

順番に漁船に乗り込み出航していく刺し網漁師たち=17日午前5時17分、石川県輪島市の輪島港で

 漁師でつくる「海士(あま)町刺し網実行組合」に所属する約70隻のうち、46隻が参加した。午前5時過ぎ、ライトをともした漁船が輪島港から次々と出航。七ツ島周辺で網を入れ、取れた魚の種類や数を調べた。漁師らは正午過ぎに港へ戻り、口々に「全くだめ」「話にならん」とため息をついた。

◆「魚群探知機も反応がない」

 組合の吉浦真志会長(56)は「『えっ』という状態。もっといるかと期待したが、魚群探知機も反応がない」とがくぜん。地震前、吉浦会長の船はメバルだけで150キロほど水揚げする日もあったが、「オキバチメ」と呼ぶメバルの仲間1匹のみだった。  この状況が地震の影響かどうかは不明という。刺し網漁は通常、午前0時ごろに出航して昼過ぎに戻るが、港の岸壁に亀裂や深い穴があり危険なため、調査の時間帯をずらした。  輪島港は船だまりが隆起で使えず、荷さばき所の被害も大きい。それでも約8カ月ぶりに網を入れたことに、吉浦会長は「うれしかったね。周囲もみんな張り切っていた」と話した。(鈴木沙弥) 

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