日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(70)の報酬過少記載事件で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(68)の控訴審公判が19日、東京高裁であった。検察側は全面有罪、弁護側は全面無罪をそれぞれ主張し、結審した。

判決は2025年2月4日に言い渡される。

22年3月の一審・東京地裁判決はゴーン元会長の「報酬隠し」を認定した上で、ケリー元役員は10〜16年度に関しては元会長の未払い報酬について認識がなかったと判断。17年度に限って共謀が成立するとして大半を無罪とし、懲役6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。

検察側はこの日の最終弁論で、ケリー元役員は10〜16年度の元会長への未払い報酬についても認識していたと改めて主張。司法取引に応じた元秘書室長の証言の一部について一審判決が信用性を認めなかったのは「(司法取引で得られた)証拠の活用への道を閉ざすもので、制度の趣旨に反する」と訴えた。

これに対して弁護側は「元役員の関与を示す客観的証拠は存在しない」などとして全面無罪を主張した。

ケリー元役員はゴーン元会長らと共謀し、10〜17年度の日産の有価証券報告書に元会長の報酬を計約91億円少なく記載したとして起訴された。

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