2024年度の入学者が定員割れした四年制の私立大が354校で59.2%に上り、1989年度の調査開始以来で過去最高を更新したことが13日、日本私立学校振興・共済事業団の調査で分かった。前年度(53.3%)を5.9ポイント(34校)上回り、4年連続で増加した。

東京や大阪とその周辺、愛知を合わせた三大都市圏の私大の定員全体に対する入学者の割合(定員充足率)は初めて100%を下回った。

少子化の進行で、小規模校や地方で定員割れに追い込まれる私大が増えているが、学生を集めやすい都市部でも経営の厳しさが増している現状が明らかになった。

調査は募集停止中などを除く全国598校の5月1日時点のデータを集計した。

18歳人口が前年度から約3万4000人減った一方、入学定員は約1200人増えた。総入学者は約5900人減り、定員充足率は98.2%と調査開始以来で最も低くなった。

入学者数が定員の8割未満だった大学は182校(30.4%)に上り、前年度から4.6ポイント増えた。文部科学省関係者は「学生集めに苦労している私大の現状を表している」と危機感を募らせる。

規模別では「定員3千人以上」の大学の充足率が103.7%で前年度比0.1ポイント増えた。一方「100人以上200人未満」は同4.2ポイント減の83.4%、「400人以上500人未満」で同3.4ポイント減の85.3%と、規模が小さいほど充足率が低い傾向がみられた。

三大都市圏の充足率は99.9%(同1.5ポイント減)だった。東京と大阪は引き続き100%以上だったが、千葉・埼玉・神奈川・兵庫が前年度と同様に定員割れし、愛知と京都が新たに定員割れに陥った。

その他の地域は同1.1ポイント減の92.5%だった。

18歳人口が急速に減少する中、文科省は大学入学者数が40年に51万人、50年に49万人に減少すると推計。入学定員が現状のままだと2割が埋まらなくなる。

収入の多くを授業料などに頼る私大の経営は一層厳しくなる。同事業団が私大を運営する学校法人の22年度の決算を分析したところ、2割弱(101法人)が債務超過などで経営が困難な状況だった。学生募集の停止に踏み切る事例も相次いでいる。

私大が突然破綻して学生の修学機会が奪われないよう、文科省は全体規模の適正化や、持続可能な経営への転換を急ぐ。24年度から5年間を「集中改革期間」と位置づけ、中小規模の私大など45校を選んで経営改革を支援する。公募には111校が名乗りを上げ、定員2000人以下の規模の学校が8割を占めた。

高等教育の将来像について議論する中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別部会が8月に公表した中間まとめでは、大学の収容定員を引き下げやすい仕組みや、撤退時に学生が学修を継続できるよう保護する制度などについて、今後具体策を詰めるとした。24年度中の答申を目指している。

(斎藤さやか)

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