能登半島地震で被害を受けた石川県の第三セクター、のと鉄道は、被災地の復旧状況や復興への思いを乗客に伝える「語り部列車」をデモ運行した。16日に予定する初の営業運行を前に、地震以前に走らせていた観光列車の添乗員3人が車両に乗り、説明の内容や手順を確認した。
この日は通常の列車に増結された車両で、七尾―穴水間を走る約45分間、地元自治体や商工会の関係者らを相手に実演。沿線にある和倉温泉(同県七尾市)の復興に向けた動きや、農業再開の現状などを紹介した。
倒壊した家屋、津波で浸水した地域、隆起した海岸などの写真を載せたパネルを、語りに合わせて掲示し「壊滅的な状況が広がっている」と伝えた。一方で、車窓から見える海や田畑など美しい自然の説明も加えた。
語り部を務めた牛上智子添乗員は、同県穴水町の自宅で被災し、仮設住宅で暮らす。「目の前の民家が土砂に巻き込まれたが、なすすべなくただ立ち尽くしていた」と、涙ぐみながら自身の体験を織り交ぜた。
16日は愛知県からの団体客向けに1両を貸し切りとして運行。当面は、大手旅行社のツアーに組み込まれる。〔共同〕
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