難民認定されたアフガニスタン出身の両親から日本で生まれた女児(1)が日本国籍を求めた審判の即時抗告審で、名古屋高裁が出生時に両親が「無国籍」として、子どもに日本国籍を作る「就籍」を許可する決定を出したことが分かった。決定は11日付。代理人弁護士によると、こうしたケースで就籍を認められたのは初という。

 決定などによると、女児は2022年11月、愛知県豊橋市で出生し、両親が法定代理人となり日本国籍を求めて名古屋家裁豊橋支部に審判を申し立てた。両親は23年8月に難民認定を受けた。

 名古屋家裁は同年11月、両親らがアフガニスタン国籍の離脱手続きを取っていないことなどから申し立てを却下し、両親は同年12月に即時抗告した。

 即時抗告審で、高裁の長谷川恭弘裁判長は、アフガニスタンは21年にタリバンによる武力行使で領土の支配を失い、「タリバンは建国を宣言したが、日本や世界から正式な国家や政府として承認されていない」と指摘。国家の実態を失っていたとした。

 そのため、女児が出生時にアフガニスタン国籍だった両親は実質的に日本の国籍法の「国籍を有しない」に該当するとし、同法で定められた無国籍の父母のもとに日本で生まれた子は日本国民とする、との規定に基づき就籍を許可した。

 代理人の永井康之弁護士は、同様のケースで「子どもを日本人として育てていく扉を開く決定だ」と話している。(渡辺杏果)

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