暴行罪の無罪が確定した名古屋市の男性について、警察が保管するDNA型などを抹消するように国に命じた名古屋高裁判決を受け、警察庁の露木康浩長官は12日の定例記者会見で上告しないと明らかにした。「警察庁としても争う理由がないと判断をした」と述べた。
8月30日の高裁判決は「犯罪自体を認めない判決が確定しており、DNA型などをデータベースに残す必要がないのは明らかだ」として、一審に続いて抹消を命じた。
警察庁によると、昨年末時点でのDNA型の登録数は約175万件。判決では、警察庁が法律より下位の規則でDNA型などを管理・運用するのではなく、立法による整備を求めた。
露木長官は「立法の要否は最終的には立法府において判断されるもの」とした上で、「裁判所の考え方も分かれている」と指摘。「今回の判決をもって、直ちに立法などの措置が必要になるとまでは考えていない」と述べた。
二審判決などによると、男性は2016年10月、自宅近くのマンション工事現場で、現場責任者の男性を突き飛ばしたとして、愛知県警に暴行容疑で現行犯逮捕され、DNA型などを採取された。名古屋地裁は18年、刑事裁判で無罪を言い渡し、その後確定した。〔共同〕
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。