新潟県が進める上越医療圏の再編の一環で新潟労災病院(上越市)を閉院することについて、地域住民らが9日、県庁を訪れ「地域に総合病院を残して」と要望した。約1万5千筆の知事あての署名を添えた。

 新潟労災病院は、上越市直江津地区で65年以上にわたり医療の中心的な役割を担ってきた。しかし、医師の減少などによる病棟閉鎖が相次ぎ、医療機能を他病院に移したうえで2026年3月末に閉院することが県や関係医療機関、医師会などでつくる会議で決まった。

 この日、県に要望したのは今年1月に設立した「上越地域の医療を守る会」の石田秀男代表ら。4月から署名活動を始め、1万4740筆が集まったという。

 要望書の冒頭で「昨年、私たちの街から病院がなくなるという衝撃が駆け巡った」とし、地域住民は「医者にかかれない」「(他病院に)通えない」などの不安にかられていると主張。圏域に中核病院を位置づけ、ここに医師を集中させるという県の再編構想について「中核病院から遠距離の地域に住む住民の命と健康をないがしろにするもので納得できない」と訴えた。

 その上で、①直江津地区に多くの診療科を備える総合病院を残す②病院の再編統合ではなく、安心して頼れる身近な病院を各地に残すような医療構想とする③医師・看護師を増やすための抜本的な対策を講じる――ことを県に望んだ。

 対応した浅見裕之・地域医療政策課長は「人口や患者数、医師や看護師ら担い手の減少が見込まれるなか、圏域全体で医療を確保するためには県の医療再編が持続可能で最適だと考えている」などと従来の方針を述べ、理解を求めた。(北沢祐生)

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