「ルフィ」などと名乗る指示役らの広域強盗グループが、フィリピンを拠点に起こしたニセ電話詐欺事件で、警視庁捜査2課などは5日、窃盗の疑いで、同国から強制送還された住所不詳、無職西尾嘉之容疑者(60)を逮捕したと発表した。

◆日本に電話をかける「かけ子」か

 捜査関係者によると、グループは昨年2月に強制送還された渡辺優樹被告(40)=強盗致死罪などで起訴=がリーダー格とされる。2018年ごろからフィリピンでニセ電話詐欺を始め、被害総額は60億円以上とみられている。  西尾容疑者はグループの一員で、フィリピン国内の拠点から日本に電話をかける「かけ子」の1人だった疑いがある。昨年2月に偽造免許証を所持した疑いで現地の警察に逮捕され、入管施設に収容されていた。  逮捕容疑では2019年6月上旬ごろ、警察官らになりすまして電話をかけ、東京都内の80代女性からキャッシュカードを盗み、現金150万円を引き出したとされる。同課は認否を明らかにしていない。   ◇  ◇

◆JPドラゴン幹部は入管収容中

 渡辺被告をリーダーとするニセ電話詐欺グループは、交流サイト(SNS)を通じて離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の典型とされる。警視庁は、今も20人ほどがフィリピンに残り、潜伏しているとみる。  捜査関係者によると、グループで詐欺を取りまとめていたとされる今村磨人(きよと)被告(40)=強盗致死罪などで起訴=と並ぶ「幹部クラス」も、数人ほどが潜伏中。グループの関係者で、フィリピンで活動する暴力団系の日本人集団「JPドラゴン」の幹部、小山智広容疑者(50)は、現地の入管施設に詐欺容疑で収容され、刑事手続きが終わっておらず、強制送還の見通しが立っていない。

◆捜査幹部「事件は終わっていない」

 他にも数人の「かけ子」が入管施設にいるほか、十数人が逃亡を続けている。捜査幹部は「ルフィ事件は終わっていない。残党の逮捕に向けて、フィリピン当局と連携し捜査を続ける」と語った。(昆野夏子) 

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