奥行きのある言葉と洗練された比喩で生命への賛歌をうたい続けた詩人の新川和江(しんかわ・かずえ)さんが10日、心筋梗塞のため東京都内の病院で死去した。95歳。茨城県出身。家族葬を行った。喪主は長男博(ひろし)さん。後日、お別れの会を開く予定。

新川和江さん=2008年

 結城高等女学校(現・茨城県立結城第二高校)卒。戦時下の在学中、近くの下館町(現・筑西市)に疎開してきた西条八十に師事。結婚して上京後の1953年、身近な生活を重視する立場を打ち出した第1詩集「睡(ねむ)り椅子」を出版。その後、出産を経て発表した「赤ちゃんに寄(よ)す」で、母性といのちをうたう詩人という評価が定着した。  65年、欧州への紀行詩集「ローマの秋・その他」で室生犀星賞を受賞。続いて、「ひきわり麦抄」(現代詩人賞)「けさの陽に」(詩歌文学館賞)「はたはたと頁(ページ)がめくれ…」(藤村記念歴程賞)などの詩集を刊行。地球全体の生命とのつながりをテーマにした2007年の「記憶する水」で現代詩花椿賞を受けた。  1983年、女性で初の日本現代詩人会会長に就任。同年、吉原幸子(さちこ)(故人)とともに、女性を主体とす季刊詩誌「ラ・メール」を創刊して10年間発行、多くの女性詩人を育成した。 

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