現代を代表する詩人の一人で、女性としての生の喜びをおおらかに歌いあげた新川和江(しんかわ・かずえ)さんが10日、心筋梗塞(こうそく)で死去した。95歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は長男で音楽家の博(ひろし)さん。
茨城県生まれ。戦時中、旧制結城高女に在学していた時、疎開してきた西條八十に師事し、詩作を始めた。戦後は少女雑誌などに詩や小説を発表。1953年、最初の詩集「睡り椅子」を出して詩誌「地球」に加わり、その後半世紀以上にわたって旺盛な創作活動を続けた。
主な詩集に「ひきわり麦抄」(現代詩人賞)、「潮の庭から」(丸山豊記念現代詩賞)、「けさの陽に」(詩歌文学館賞)、「はたはたと頁(ページ)がめくれ…」(藤村記念歴程賞)、「記憶する水」(現代詩花椿賞と丸山薫賞)などがある。教科書にも載った「わたしを束ねないで」が代表作。
83年には詩友の吉原幸子と季刊詩誌「現代詩ラ・メール」を創刊し、多くの女性詩人を育てた。日本現代詩人会会長も務めた。
子ども向けの詩集も多く、98年には児童文化功労者に。結城市は小中高生の詩を対象とする新川和江賞を制定している。
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