関東大震災や東日本大震災の被害を伝える写真展が、東京都新宿区歌舞伎町2の稲荷鬼王(いなりきおう)神社の境内で開かれている。震災の悲惨さを伝え、防災や減災の大切さを呼びかける。防災の日の9月1日までで、観覧無料。  がれきだらけになった街を見渡す男性たち、ぺしゃんこにつぶれた日比谷公園の旧音楽堂前で立ち尽くす子ども…。

がれきだらけの街に立ち尽くす人々を伝える絵はがき=稲荷鬼王神社提供

 1923(大正12)年9月1日に起きた関東大震災の被災状況を伝える白黒写真など100点が並ぶ。震災後から昭和初期ごろ、雑誌の付録や土産品として売られた絵はがきの図柄をB5判に拡大印刷した。

倒壊した日比谷公園の旧音楽堂の前で立ち尽くす子どもの様子を伝える絵はがき=稲荷鬼王神社提供

 「大震災で親戚を亡くした先代宮司の父や伯母が、その怖さを伝えようとしてか、絵はがき数十枚を残してくれた」と大久保直倫(なおとも)宮司(60)。妻玲奈さん(52)と古書店やインターネットでさらに約100点を集めた。展示は関東大震災から100年の昨年に続いて、2回目となる。

関東大震災の写真を見つめる大久保直倫宮司(右)と玲奈さん(中村真暁撮影)

 2011年3月11日に起きた東日本大震災の写真50点も並ぶ。直倫さんが2011年秋ごろ、被災者の思いを聞く傾聴ボランティアなどで訪れた宮城県で撮影したほか、被災神社の関係者から寄せられたものも。天井が崩れ落ちた学校の教室や、壊れ果てたみこしなどが悲惨さを物語る。

大久保直倫さんが撮影した、東日本大震災で天井が崩れ落ちた学校の教室=稲荷鬼王神社提供

 「大切な家族や思い出の品々を失った人々を思ってほしい」と直倫さん。今年1月の能登半島地震の被災地にも心を寄せ、被災者は今もつらい思いをしている一方で、世間の関心は薄れているのではと懸念する。「防災や減災は自分たちの問題だと思い出し、多くの人と思いを共有できれば」と話した。(中村真暁) 

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