沖縄戦の遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(70)が7日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見し、沖縄戦で亡くなりながら遺骨が見つかっていないアメリカ兵の遺族らに日本でのDNA鑑定を呼びかけた。

持参した遺骨土砂を広げる具志堅さん=7日、東京都千代田区で(中山洋子撮影)

◆遺骨が眠る土砂が基地の建設に

 沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部の土砂には、アメリカ兵や朝鮮半島出身者らも含む多くの人々の遺骨が眠る。その土砂を沖縄県名護市辺野古の新基地建設に使う計画について、具志堅さんは、持参した土砂を示しながら「完全に収集しきれない細かい遺骨がたくさん含まれている。戦没者の血や肉を吸い込んだ土を、軍事基地をつくるために海へ捨てるのは冒瀆(ぼうとく)であり、国際的な人道問題」と訴えた。  2016年に戦没者の遺骨収集を「国の責務」とする「戦没者遺骨収集推進法」がつくられ、DNA鑑定の対象も拡大。具志堅さんのもとには、韓国の遺族からも鑑定に参加したいとの申し出があったという。「アメリカ兵の遺族には呼びかけていなかった。でも、DNA鑑定に参加する権利はあると思っている」と話す。

◆遺骨収集の取り組みに大きな違い

持参した遺骨土砂を示しながら、米兵らのDNA鑑定を呼びかける具志堅さん

 アメリカ国防総省の遺骨収集専門機関にも「協力を呼びかけたい」という。「民間任せの日本の遺骨収集とまったく違う。ジャングルのフットボール場2つくらいの広さの土を全部ふるいにかけて調べていて感動した。アメリカ側の協力があれば、日本政府も真剣になるんじゃないか」と期待する。  8月末には辺野古の埋め立て工事が本格化する見通しで、具志堅さんは「たとえ基地建設に賛成でも、遺骨が交じる土砂を海に捨てることをやめてほしい」と危機感を募らせる。  遺骨土砂への反発の広がりを受け、政府が検討する鹿児島県の奄美大島の土砂採掘についても、具志堅さんは「世界自然遺産の奄美大島と、生物多様性の豊かな大浦湾のどちらの自然も破壊することになる愚かな行為」と批判した。(中山洋子) 

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