鶏卵生産大手「アキタフーズ」から現金を受け取ったとして、2022年に吉川貴盛元農林水産相の収賄罪が確定した鶏卵汚職事件で、吉川氏の約5年前に農相を務めた、栃木2区選出で元自民党衆院議員の西川公也氏(81)が、21年の東京地検特捜部の聴取に、同社から14~20年の6年間に計1500万円を受け取ったと供述していたことが、本紙の請求で東京地検が開示した刑事確定訴訟記録で分かった。

 鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの秋田善祺元代表から、吉川貴盛元農相が2018年11月から19年8月にかけ、計500万円の賄賂を受け取ったとされる贈収賄事件。吉川氏は疑惑発覚後の20年12月に衆院議員を辞職。22年には収賄罪で懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金500万円とする東京地裁判決が確定した。

西川公也氏(2017年撮影)

◆「賄賂に当たる可能性高い」とし収支報告書へ記載せず

 記録によると、西川氏はアキタフーズの秋田善祺(よしき)元代表から、14年9月から約5カ月の農相在任期間を含む20年7月まで「毎年盆暮れに100万円程度の現金を手渡された」と明かした。農相就任時や自民党総裁選の前には「100万円より多い額」を受けたとしている。17~20年の内閣官房参与当時は「合計500万円程度の現金を受け取った」という。  これらの金について西川氏は「有権者の冠婚葬祭の祝儀や香典代、弔電代、私設秘書や運転手の人件費、会食の費用、外遊の際に外国要人に手渡すお土産代などに使った」と説明。その上で「賄賂に当たる可能性が高い」ため収支報告書に記載しなかったとし、違法性を事実上認めていた。

◆公訴時効にかかるとして立件は見送られた

 現金を受け取る際には「書面や口頭で多種多様な要望を受けた」とし、趣旨について「私にアキタフーズを含む養鶏業界に有利になることをしてもらいたい、要望を実現してもらいたいという気持ちからと分かっていた」と述べていた。  本紙は西川氏の事務所に電話や文書でコメントを求めたが、1日夕の期限までに回答はなかった。  西川氏は鶏卵汚職を巡る疑惑が浮上し、20年末に「一身上の都合」として内閣官房参与を辞任。しかし「私に疑惑はない」としていた。東京地検特捜部は21年、農相時代の現金授受は公訴時効にかかるなどとして、西川氏の立件を見送った。(小沢慧一)


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