政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は2日、能登半島沖など兵庫県北部から新潟県西部の沖合にある海底活断層を公表した。地震の規模を示すマグニチュード(M)が7以上の大地震が発生する可能性がある活断層は25カ所ある。日本海側の活断層の位置を示すことで、自治体などの防災対策の強化を促す。
盛山正仁文部科学相が閣議後の記者会見で明らかにした。兵庫県北部沖から新潟県の上越地方沖にある25の海底活断層を示した。想定される地震の規模の幅はM7.0〜8.1で、2024年1月の能登半島地震を引き起こした「能登半島北岸断層帯」が最大規模(M7.4〜8.1)だという。
ほかにも、富山県東部沖から新潟県西部沖に伸びる上越沖断層帯で最大M8.1の規模が想定される。北陸の若狭湾沖合についてはこれまで知られていなかった3つの活断層を示した。地震の規模は最大でM7.5程度が見込まれるという。
日本列島の陸地にある活断層は位置や地震の規模などがすでに示されているが、海底の活断層は目視で確認できないため、実態の把握が遅れている。地震本部では17年から日本海側の海底活断層の位置や発生確率を示すための長期評価を始め、西側から順次公表している。22年に長崎県沖から鳥取県沖の活断層について初めて示した。
長期評価はもともと、今後30年以内の発生確率も公表するが、今回は断層の位置や地震の規模を先に公表した。地震の発生確率は今後精査して、2025年6月にも公表する。
活断層の公表を急いだ背景には、24年1月1日に発生した能登半島地震がある。マグニチュード7.6の地震が発生し、最大震度7を記録し、甚大な被害が出た。地震本部に設置している専門家らによる地震調査委員会で長期評価をとりまとめているさなかに発生し、自治体や住民らへの注意の呼びかけが間に合わなかった。
地震調査委の平田直委員長は能登半島地震発生後の記者会見で「もっとちゃんとやればできたかもしれない。残念に思っている」と話し、公表手順の見直しを示唆していた。能登半島地震で大きな被害を受けた石川県でも「国の想定の見直しを待っていた」(馳浩知事)ため、地域防災計画の見直しが遅れていたという。
これまで日本の地震対策は日本海溝や南海トラフなどのプレート境界型の巨大地震や、首都直下地震などの太平洋側で先行してきた。
日本海側には大規模な海溝は存在しないため、防災対策には活断層の把握が重要だ。しかし、海底活断層についてはこれまで、研究者の間では知られていても一般に周知されておらず、自治体などの防災対策が遅れていた。地震本部は新潟県沖〜北海道の日本海側についても順次公表していくとしている。
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