日本初の女性弁護士の一人、中田正子さん(1910~2002年)が改めて注目されている。50年以上にわたり鳥取県唯一の女性弁護士として活躍。NHK連続テレビ小説「虎に翼」の主人公モデル三淵嘉子さんらと同じ年に司法試験に合格、男性に限定されていた法曹界に風穴をあけた。
鳥取市では最近企画展も開催。関係者は「道を閉ざすことなく後に続かないといけない」と話す。(共同通信=阿部優歩)
中田さんは東京で生まれ明治大女子部に進学、三淵さんと机を並べた。1933年に弁護士法が改正、初めて女性にも弁護士への道が開けた。
1937年、当時の司法試験の筆記で合格者約270人の中で女性として唯一合格するも口述試験で不合格に。「生意気だったから、落とした」と試験官の一人が語ったとの逸話もある。
翌年再挑戦し、三淵さんと、女性初の最高裁判事候補となった久米愛さんと共に合格。東京で弁護士活動を始めた。
中田さんは1938年、全国紙に対し「日本の法律は女性のためには非常に不利にできている」ことが法律を始めた動機だと語り「女は女の味方になって弱い世の『母』と『妻』を守ってやらなければならない」と強調した。
明治大の婦人法律相談所で対応し、後に国会議員となる夫の出身地、鳥取県で1950年に開業、晩年まで県民に寄り添った。
女性初の県弁護士会会長、日弁連理事も務めた。
ことし4~5月、企画展が鳥取市のあおや郷土館で開催。学芸員奥村寧子さんは「弁護士になれるかどうか分からない時から必死に努力して志した人。強い信念と努力を感じる」と語った。
中田さんは鳥取県弁護士会が2016年に立ち上げたPRキャラクター「まさこ先生」のモデルにもなった。中田さんに次いで2001年に県で2人目の女性弁護士となった足立珠希さん(53)は「夫婦別姓の問題など、女性だからこそ分かる根強い問題がある」と意義を説明。中田さんについて「女性のトップランナーとしてとても険しい道を切り開いてきた方。その道を閉ざすことなく後に続かないといけないと感じる」と話した。
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