福岡県苅田(かんだ)町は31日、有害鳥獣として町内で回収したイノシシの死骸1体を、町職員らが道路沿いに投棄していたと発表した。目撃した人の110番通報で発覚し、県警が事実確認を進めている。町は廃棄物処理法違反の可能性があると判断し、再発防止策を検討している。

 町によると、投棄されたイノシシはメスの個体1頭(約80キロ)で、同町提(ひさげ)の山中で駆除にあたる男性が仕掛けた箱わなにかかり、死んでいたもの。29日午前9時過ぎ、男性の要請を受けた町職員2人が処理を手伝うため現地に向かい、協力して男性の軽トラックに死骸を載せた。

 職員は、軽トラックの後について、「苅田町」と書かれた公用車の軽バンで数キロ離れた同町南原(みなみばる)の山間部に移動し、県道沿いの草むらに死骸をそのまま投棄した。投棄場所は公有地という。

 通常は、捕獲した時点でとどめをさし、食用に解体するか山中に埋めて処理しているという。死後時間が経ち、大きすぎて埋めることもできなかったため、男性の判断で職員が投棄したという。

 県警行橋署によると、29日、「苅田町と書いた車で来た数人がイノシシを捨てている」と110番通報があった。署からの連絡で町が把握した。その後、死骸を隣町の動物霊園に運び、焼却した。

 町は、職員の法令理解が足りず、捕獲動物の処理方法も確立していなかったのが原因とみて、手続きのマニュアル整備や指導・研修などの再発防止策を講じる予定。

 町総務課の担当者は取材に「廃棄物処理法などの法令に違反した可能性がある。不適切な対応をしてしまい申し訳ありません」と話した。(田中久稔)

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