作品を手にする創作折り紙作家の故吉沢章さん=東京都練馬区(栃木県上三川町提供)

 創作折り紙を世界に広めた故吉沢章さん=2005年に94歳で死去=の出身地、栃木県上三川町が、折り紙による町おこしを進めている。町が開催する折り紙イベントは本年度で4回目を迎える。空間把握能力の向上などを目的に小中学校の授業に取り入れるほか、有志が折り紙の写真スポットを設置し、人口約3万人の町に少しずつ浸透している。(共同通信=市川太雅)

 町によると、1911年生まれの吉沢さんは鉄工所で働く傍ら趣味で折り紙制作に没頭。猫が伸びをする様子を表した「ねこ」など、詳細な観察に基づき動物の骨格やしぐさを忠実に表現する作品を得意とした。太平洋戦争後、仕事を辞めて制作に専念。国内や欧米で個展を開催した。40カ国以上を訪れ、折り紙を世界に広めた。

 その功績にあやかり、町は2020年に「ORIGAMIのまち」を掲げた。作り方や吉沢さんを紹介するウェブサイトを開設。吉沢さんや一般市民の作品を展示するイベント「ORIGAMIフェスティバル」には県外客も多く訪れるようになった。町の担当者は「確実に認知度は上がっている」と手応えを感じている。

 小中学校の授業では折り紙を作るだけでなく、吉沢さんについて学ぶ時間も設けた。郷土愛を育む狙いもある。

 町内の至る所に折り紙作品やオブジェが飾られている。目抜き通りに面する「佐藤材木店」も、写真スポットになるようにと、店先に木で造った折り鶴のようなパネルを設置した。材木店の山田有美社長(57)は「オブジェを見て、折り紙の町を体感してほしい」と話した。

吉沢章さんの作品「ねこ」
「佐藤材木店」の店先に飾られた折り鶴のパネル=2024年6月17日、栃木県上三川町

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